「ア歯科」という歯医者の名前を初めて聞いた方もいるかもしれません。
ア歯科とは、患者さんにとって優しく、また診療チーム(歯科医師やスタッフ)が質の高い治療を提供できるように設計された設備を備えた歯科医院のことです。
これを提唱したのは、戦後、横須賀海軍病院に赴任して以来、日本を活動の拠点として生涯を過ごされたDr.ダリル・ビーチです。
今ではどこの歯科医院でも、患者が診療台に寝て、歯科医師が座って治療するスタイルは、当たり前になっていますね。
このスタイルを戦後の日本で広めるために尽力されたのが、Dr.ビーチなのです。
それまでの日本の歯科医院では、患者が座って口を開け、歯科医師は立って診療していました。
そのため、中腰になったり、ななめの位置から患者の口の中をのぞき込んだり、歯科医師は常につらい体勢で診療しており、腰や肩を痛めることも多かったでしょう。
この様子を見たDr.ビーチは驚き、これではいけないと、歯科医師の身体に負担がかからず、治療に専念できる新しい治療スタイルを考案しました。
それが『水平診療台』です。
極めて精密な作業が要求されるドクターとアシスタント。
水平診療台による治療は、診療チームにとって自然な体勢で治療に専念できる優しいスタイルです。
加えて、人間は眠っているときが最もリラックスしていると言われるように、治療を受ける患者側にとっても、水平診療台に横たわり最もリラックスした体勢で治療に臨んでいただくことができるのです。
当院では、精密な指のコントロールと視線が確保できる「pd」と呼ばれるシステムを採用しています。
pdとは・・・proprioceptive derivation
Dr.ビーチが推奨する人間工学に基づいた設計・診療のコンセプトです。
pdの実践で、向き合っても身体的ストレスが少ない、作業が快適である、などの利点により、診療チームは、より治療に専念することができます。
上の写真は、当院の診療ユニットです。
アシスタントが座るイスは、ドクターより20cm高くなっていて、ドクターの手元がよく見えます。
イスは固定されていますが回転しますし、手を伸ばせば必要な器具に手が届く仕組みになっていて、動き回る必要もないのでラクチンです。
そして、診療台やイス、カウンセリングルームのテーブルなどは丸みを帯びた設計で、周りの棚や家具は造り付けにするなど、
小さなお子さまも、目の不自由な方も、安全に歩けるような形状、レイアウトになっています。
また、院内は広くて明るく、木目調の自然な木のぬくもりを感じられる温かな雰囲気を演出しており、患者様が安心して治療に来ていただける空間です。
このようなDr.ビーチのコンセプトを実践しているのが「ア歯科」です。
そもそも、なぜ「ア」なのかというと、
「ア」は、最もラクに発音できる音であり、当時は日常的に使われていた電話帳のあいうえお順では、カタカナの「ア」が先頭に記載されるため、患者さんが見つけやすいという理由です。
いかがですか?
ア歯科のこと、少しお分かりいただけたでしょうか。